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「二階の悪魔さん 地獄への帰り方、探してます。 (富士見L文庫)谷崎 泉」
二階の悪魔さん 地獄への帰り方、探してます。(富士見L文庫) 谷崎 泉

二階の悪魔さん 地獄への帰り方、探してます。(富士見L文庫) 谷崎 泉

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あらすじ#

世紀末の日本へ召喚された地獄の侯爵アヴナス。 彼は召喚者に置き去りにされたため願いを叶えられず、地獄に帰れなくなった。 それから二十四年──召喚者を探し続けるアヴナスは築三十二年の弁当屋の二階に住んでいる。 からあげを愛し慎ましく暮らしながら、地獄への帰還を切望していた。 そんな折、弁当屋を営む真辺文から合唱サークルの助っ人を頼まれ、弁当のからあげ増量と共に引き受ける。 しかし、それがきっかけで地獄帰還へのヒントが…!? 孤高の悪魔と普通の人々が織りなす悪魔的(非)日常の四畳半喜劇!

感想#

合わなかった。主人公である悪魔の考えや行動が「それなんで?」といちいち引っかかってしまう箇所が多すぎた。こういうのって引っかかっても問題なく面白く読める本もあるんだけど、これは「なんで???」のままだったので合わなかった。

召喚者不明で戻れないまま四半世紀、でもどこまで本気で戻りたいのか#

主人公であるアヴナスの性格と考え方、行動が全て理解できないし合わなくて、お前目的はなんなの? 戻りたいってどこまで本気なの? と読んでて首を傾げてしまった。

悪魔は召喚者の願いを叶えなければ戻れない。召喚者がいなくなってしまったのでアヴナスは願いを叶えられず、戻るために召喚者を探している。
地獄で会議があるときまでに戻りたい。タイムリミットは決まっている。
四半世紀探していて未だに召喚者は見つからない。

という状況で、アヴナスはゆるゆると、そこまで本気を出した様子なく召喚者を探している。もはやタイムリミットが迫っているのだからと焦って新しい手段に出るでもなく、しかし四半世紀見つからないのだからと諦めるのでもなく、今までと変わらない行動をして惰性のような探し方をしている。
もうちょいなんとかあるんじゃないの? と思っちゃうんだよな。諦めるとか、もっと頑張って手段を増やすとか。
地獄に帰ったところでベリアルからの扱いは悪いのだからこのまま人間界に定住しても良いのではないかと考えても良いのにそれもせず、でもベリアルのところに急いで帰らなければ! と必死になっているようにも見えない。すべてが中途半端だった。

本気で探すんだったら、たとえ召喚された場所が現在地付近であろうとも、召喚者が別の場所へと移動した可能性も考えもっと世界各地を駆け巡ったって良い。でもアヴナスはずっと弁当屋の二階に住み込んでいる。
占い師をやれば色んな人が来るだろうからきっと見つかるはずと考えているが、人が来るのを待つのではなく自分から動いたら? と思ってしまう。

そもそも物語の方向性が謎#

地上に来たまま帰れない悪魔の若干ぽんこつご近所物語とするには、アヴナスの行動がちょっとそうは問屋が卸さない状態なんだよ。

アヴナスは最初の話で人を殺している。殺されかけたからとはいえ、自ら殺人を犯している。
そこから唐揚げ屋バイトや退魔師含めたほのぼの物語をされても、いや……あなた冒頭で人を殺しましたよね……という感情が残ってしまう。
一人殺せば殺人者だが1万人殺せば英雄だかなんだかそんな言葉もあるが、そのとおりアヴナスが殺したのが1人だけなので、尚更後味が悪い。
ほのぼの話をするにはちょっと出だしが悪いんだよ。

でもそこから先は特段殺人などの物騒な話はなく続いていく。人間なんて下等と思っているが唐揚げは美味しい。家主である文が絡んでくると面倒くさいが契約となればこなす。
物語のラインをどこに引いているのかわからず、読んでて微妙すぎた。

ついでに言えば、ケーキやビールも好きだけど四半世紀地上にいて初めて食べたってどうなんだ。シャーロットがバーをやってるのとあの性格を考えると、なんらかの理由で強制的に食わされたりって全然ありそうなんだけど。このあたりもなんでだよとなった箇所。

これって物語が合わない・乗り切れないので、細かいところも目についちゃう問題なんだろうな。キャラクターの考えやなにがしたいかがわからなくとも面白い話はあるが、これはそうじゃなかった。なんでそういうことするの? が発生してしまって、他の箇所も目がついた。そういうことなんだろう。