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10 分
「ミス・パーフェクトが行く! 横関大」将来的にほころびが出そうな対処法ばっかだな
ミス・パーフェクトが行く! 横関大

ミス・パーフェクトが行く! 横関大

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あらすじ#

真波莉子はキャリア官僚。「その問題、私が解決いたします」が口癖の人呼んでミス・パーフェクト。ある日、総理大臣の隠し子だとバレて霞が関を去ることになるが、次の勤め先はまさかのファミレス!? 政治家の不適切発言の後始末、不倫CAの転職先探し、赤字続きの病院の立て直しなど、なんでもござれ。実在してほしい人材NO.1! 痛快世直しエンタメ。

感想#

総理の隠し子である主人公が、様々な場所で働いては課せられた問題を解決していく物語。
当初厚生省の公務員だったコネやその頃つけた知識を使って、経営不振だが潰せないファミレスやCAのセカンドキャリア問題などを解決していく。

その問題解決、大丈夫か?#

これは無理では? という問題を解決していくのは痛快といえば痛快なんだけど、ただ出てくる対処法がどれも「これ数年後は破綻するのでは?」「何かしらの問題があとから大量発覚するのでは?」と思うものばかりなので、登場人物らがみんな「おおー!」「すごい!」と言ってるのになんとなく大丈夫か? となってしまう。
また、これは完全に悪口ですが、その「おおー!」「すごい!」のノリが結構なろう系というかそういう系譜と同じだよね。これは人間の好む傾向がスカッとジャパンとざまぁに収束するのでは? という悪い話です。

例えば2話で、赤字経営だが諸事情あって潰せないファミレスの経営再建を頼まれて取り組むこととなる。
対応策としては、まずは人手が足りていないので元バイトを復帰させる必要がある。だが子供がいて保育園にも入れていない以上そう簡単に復帰できないという元バイトに、保育資格を持っている知人を社のほうで雇う形にし、保育ママの形で預かってもらうこととする。
その上で売上自体は近隣高校に事前注文からの宅配弁当を行うことでアップする、という方法を狙う。

いや、でもゆーてランチタイムでも3人で回せてきたし……というのと、もうそれ店舗の売上を上げれば良くて、利益に関してはあまり考えて無くね?(保育ママを更に一人追加で雇う形なので)というのもあり、また作中でも言われているが近隣高校の宅配も似たような事業が乱立すればおそらく排除されるので長期的な売上は見込めないし。
保育ママって一人に頼る形なので保育園のように複数人で見る保育形態じゃない。なので保育ママが怪我したりした場合の対応策ももっと考えていかなければならない。
今この瞬間だけ良ければ良い、この先の未来についてはあまり考えていない戦法だなって思ってしまった。

またCAのセカンドキャリア問題も、不倫男周辺もうーんだし、結局航空会社のほうでは若いうちしか雇えないのでその後どっか行ってください状態なのがまずは問題じゃね? となるし。

そもそも主人公の出してくる解決方法も、厚生省で働いていて法務省などにも知り合いがいて、有名会社の社長とも麻雀友達でというあらゆるコネを利用して、根回しというか都合良くどうにか出来る手段があるので突拍子もないアイディアを出します、っていうやり方だった。
他の誰もが思いつかない方法というわけじゃなく、思いついても実行するだけの手段がないので諦める方法。そんな手段を取られても、都合が良いなあとしか思えない。

主人公自体が突拍子もないアイディアを解決するための都合よく動く舞台装置って見れば納得できないこともなかった。だからこそ何考えているのか・何が好きなのか・どういうことで情で動くのかが曖昧なんだと理解できる。何を言われても毅然とした態度というより、舞台装置なので必要な状況でしか心を揺らしませんって言われたほうがわかる。

そんなキャラが突然ラストでボディーガード兼運転手のバツイチ子持ち年齢差10以上に恋愛感情を抱いて積極的に行くのも、いや……なんで……? となる部分があった。相手の娘さんとも仲良くしているが、いや……どこで……? お前恋愛感情とかあるの……? 

政治に精通し、様々な政策を陰で立案。国の代表の代わりに裏で仕事をし、彼女がいなくなったら国の動きは立ち行かなくなるかも知れない。
そんな主人公の描写ってどっかで見たことあるわ。アレだ、なろうの悪役令嬢。婚約破棄されるまではあらゆる政治ないしは生徒会活動を代理で行っており、彼女がいなくなったら政治ないしは生徒会活動は立ち行かなくなる。ノリが同じなんだよ。

また、主人公の父親が絶妙に不快感があるというか。
普段はダメダメだけれども顔が良く、総理だけれども人に頼ってばかり。けれども憎めない性格なので皆がなんとなく助けてしまうような人。
妻の尻に敷かれているっぽいし、隠し子ではあるが娘である主人公を愛している。また主人公も腹違いの妹と仲が良くやれているだけの場を整えてくれている。
こんなそこそこ良さげな人に思えているが、娘が70オーバーの政敵に「俺の女になれ」と言われたときに「やだよーそしたらもう莉子に味方してもらったり政治考えてもらったりできないよー」なのが、いや……もっと別の反応あるだろ!? すぎて……。冗談にしてもキショいし、冗談でなければ尚更キショい。


全体的に好みじゃなかったってのが一番当てはまる。痛快ってより、そんな窓が寒いからプチプチクッションを適当につけるような方法、数年後にプチプチクッションがうまく剥がれなくて賃貸の窓に痕が残るぞ的な将来的な不安さがあった。